音の強さ(dB)と防音について
音の強さについて
音の強さを表す単位には、デシベル(dB)が使われます。 音の強さは空気の圧力変動の大きさ(振幅の大きさ)によって表されますが、そのままでは扱う数が大きくなりすぎるため、 対数を用いて扱いやすい単位にしています。一般に、人間が聴取する音の大きさは、0dBから140dBの間にあります。
ピアノをフォルテシモ(ff)で弾けば、約100dB の強さで鳴ると いわれています。一般的な騒音および楽器演奏に対する
デシベルは、以下 のようになります。
デシベル | 一般騒音レベル | 楽器 | デシベル |
130 以上 | 大砲の至近距離 | ドラムの連打 | 120 |
120 | 飛行機エンジン音近く | エレキギター | 100〜120 |
110 | 自動車のクラクション2 | 電子オルガン | 80〜100 |
100 | 電車通過時のガード下 | マリンバ・オーディオ | 80〜120 |
90 | 騒々しい工場内 | ピアノ・コントラバス | 70〜100 |
80 | 地下鉄の車内 | ヴァイオリン・サックス | 70〜95 |
70 | 電話のベル・大き目のテレビ音声 | フルート | 60〜87 |
60 | 普通の会話 | 女性の声楽 | 60〜90 |
50 | 静かな事務所 | 男性の声楽 | 50〜87 |
40 | 図書館・市内の深夜 | ||
30 | 虫のなき声・郊外の深夜 | ||
20 | そよ風・木の葉の音 |
音の強さと防音の関係について
例えば、100dBの音を、 10dB程度落として、90dB で弾いた場合、 さほど弱くなったとは思いません。ところが、40dB の音を 30dB にすると、ものすごく弱くなったと 感じます。 同じ 10dB なのに、受ける感覚に大きな開きがあるのが人間です。あまりピンとこない方は、温度に置換えると、理解しやすいかもしれません。 (100dB を 100℃のように)
防音壁の厚さと防音
防音は、ある所から急に難しくなり、より優れた効果 を望めば、桁違いの規模でやる必要があります。例えば、10cm厚の防音壁で 30dB の防音効果を得られたとします。 2倍の20cm厚で造ったらどうでしょう。壁厚を2倍にしても、その音圧差を感じ取れる人間は、まずいません。 では、4倍の40cm厚ならどうでしょう? 一般の方は、まだ解からない人が殆どです。 特別耳の良い人が、「少し小さくなったかしら?」 と思う程度です。 80cm厚の壁になって、やっと どなたも弱くなったと知る事ができます。
ほんの少しの改善のために、80cm厚の壁は、非現実的な値だと 思いませんか?「ある所から急に難しくなる」という意味をご理解いただけましたでしょうか。 ではなぜ、10cm、20cm、40cm、80cm と、急に数値を上げたのでしょう。実は、規模を2倍にすると、防音では 3dB 改善されます。 したがって 80cm厚の壁は、2の2乗倍(3dB)が3回で、 9dB 改善した事になり、防音壁は39dB 得られた事になります。
距離と防音
一方、音の距離減衰を利用すれば、比較的簡単に、質の高い防音が 得られます。レコーディングスタジオの中心に入るまでに、 ドアを3〜4枚開けて入るのはこの為です。 空気を伝わる音のエネルギーは、距離の3乗に反比例して減衰します。要するに、急激に減衰するのです。
したがって、例えば防音ドアの場合、 「高価な防音ドアを入れるよりも二重ドアの方が安価で効果は高い」 です。
防音工事の効果を示す指標について
防音効果を示す性能値を「遮音性能」と呼びます。
遮音性能の単位 は、D-○○という言い方をします。 ○○で記されたデシベル数が遮ることができるという意味です。
一般に鉄筋のマンションは、D-45〜50程度の遮音性能なので、 例えば100dBの音を出したとすると50〜55dBの音が 隣戸や上下階に伝わることになります。 望ましい遮音性能は、最低でもD-65、D-70以上。 たとえば壁だけ、床だけに防音工事をしても、結局遮音できずに 不満が残る話をよく聞きます。 施工後に音響測定器で測定・判断し性能を満たしているかどうかを 確認することが必要になります。